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車 種 | 作 業 内 容 | コ メ ン ト | 難 易 度 |
07/03/**+ | KDX125 | クランク交換 | みずくさい! |
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2ページめの始まりですが、今回は真面目に行って見たいと思います。 今回のお客さまはKDX125なんですが、クランクから異音とのことで 持ち込まれました。
ちなみに飛び込みでいらしたのですが、当店がKDX250のエンジンを 整備してるのを見て、ここなら修理してもらえるだろうと言うことで、 ご来店いただけました。
当店は小さい店と言う事もあるのですが、工場にはわざと また、お客さまの工場への立ち入りも自由にしております。 何をしているのか見ていただけますし、失敗も隠せません、 なにより御客様が気軽に入りやすくと思ってなんです。 (ちなみに工場内だけは禁煙でお願いしております。)
こうして、通りからでも見ていただいていた事はうれしい限りです。
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今回も画像が間に合わず中途半端なんですが、組み立てる所から撮りました。 これは、分解したクランクケースの内面ですが、茶色い部分が問題なんです。
破損箇所はクランクのビックエンドのスラストメタルの破損なのですが、 故障原因はマフラーからの水がエンジン内部に入った為と思われます。 一瞬冷却液も疑ったのですが、クーラントの場合白く残るので、また ラジエター内の水量も減ることも無かったようです。
水が入っただけなら、エンジンをかければ乾いてしまうので
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矢印の部分にスラストメタルが入っているんですが、 見事に無くなっておりました。 経験上KDXの大半はクランクベアリングの破損が多いのですが、 今回は初めての経験です。 修理方法としてビックエンドベアリングの交換で治るのですが、 錆びの問題から、クランクASSYで修理となりました。 また、破片がシリンダー、ピストンへダメージを与えており、 通常なら修理金額の面から車輌の乗り換えをお勧めするんですが、 お客様のご事情でフルに修理となりました。 |
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こちらは、ガスケット、オイルシール関係です、意外と少ないんです。 修理代金もかなりの金額になりますので、ひとまずクランク廻りだけの修理です。 その間お客さまに、シリンダーを探していただいてます。 安く手に入れば修理代も安く済みますから。 |
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新品のクランクシャフトCOMP ここでいきなり組んでしまうと焼き付きの原因に! ビニール袋に付いている油が問題なんです。 新品部品とは言え長期間の保存を考えて防錆のオイルを付けて有るんです。 潤滑性の無い油なのでまずは洗浄、ビックエンドベアリング付近を入念に! 洗浄方法も色々なんですが、灯油、ガソリン、パーツクリーナー、の他に 水溶性洗剤などを使い分けております。 |
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クランクベアリングの交換風景です。 抜き取りはエンジンの外側から専用工具を使って打ち抜くんですが、 昔は、こんな工具は持っていませんでしたので 適当なソケットレンチの駒で叩いてました。 向こう側に見えるのがミッションですね。 この辺の注意点は入れる時、ベアリングの内輪を叩かないように、 プロっぽい話をすると、ベアリングに規格表示がされているんですが、 分解した時に表示が読みやすいように、向きを考えて入れたりします。 |
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クランクシャフトをケースに取り付けてます。 こちらも特殊工具を使います。 コンロッドを挟んでいる工具は無くても出来るんですが、 組み付け時クランクケースにコンロッドを引っ掛けないようにしてます。 下の筒状の黒い工具はクランクエンドを引っ張ってケースに収める工具です。 |
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こちらの画像は液体パッキン塗布の状況です。 使っているのはシリコン系の色はクリアです。 液状ガスケットとも言うんですが、各社色々出てますよね、正直私自身も 選択には悩みますが、昔から使いなれているカワサキご指定品の スリーボンド社の製品を使ってます。 今回、クリアの色で施工しておりますが 合わせ面から色の付いたパッキンがはみ出してると汚く見えますので。 作業ミスを防ぐためには塗った部分が解りやすい色付きがお勧めです。 はみ出した部分はウェスで拭けばそんなに目立ちません。 参考までに当店の液状ガスケット並べてみました。 色の違いと耐ガソリン用と数種あります。 |
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クランクケースを合わせているところです。 ここは気を使う部分です。 ミッションのシャフトとクランクシャフト合わせて5本有るんですが、 同時に入れなければなりません。 また、カワサキは他メーカーと違いクランクシャフトが両端とも 工具を使わないと入らないんです。 クランクシャフトを工具で引き込みながら他のシャフトが入っているか、 見えないので、感触だけで入れていきます。 こつはクランクシャフトだけ引き込まないでミッション側のケースを プラスチックハンマーで軽く叩きながら入れるといいです。 ちなみにケースの間にノックピンがありますので忘れずに! |
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ここまで来れば一安心です。 |
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こちらはエンジン左側です。 シャフトの中ほどにクランクキーを埋め込んでいます。 こちらにはフライホイールにあたる重りが付きます。 回転力に負けないように位置決めのキーとテーパー部に食い込んで、 固定されるようになっています。 キーの確実な埋め込みとテーパー部の脱脂が注意事項です。 オイルが付いているとローターが滑ってしまいます。 |
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クランクシャフトの右側です。 こちらはエンジン出力をクラッチアウターに伝えるギヤーが付きます。 右手に見える穴は冷却水の通路ですね。 シャフト中央にキー溝が見えます。 シャフト奥にOリングを入れ忘れないように、 クランク室とミッションのシールのためです。 |
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右側のクランクエンドには変わったワッシャーを使っています。 スプリングワッシャーの強力判です。 名称はダイヤフラムスプリングでいいと思うんですが? ナットの緩みを止めるための物です。 慣性力の方向が一定ではないので強力な緩み止めを使っているんです。 他車種はロックプレートだったりしますが、こちらの方が整備性は良いですね。 取り付けには向きがありますからご注意を! |
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車体の画像なんですが、こちらでは2サイクルオイルが 落差で供給されてますので、当然垂れ流し状態、 ピンチオフツールでホースをつぶして止めておくのですが、 適当なボルトをホースに挿しておくほうがホースの変形が少ないようです。 古い車輌は配線、ホースと劣化して硬くなっていますで、 出来る限り形を変えないようにします。 実は今回エンジンを降ろすのにガソリンタンク外してないんです。 なんか得した気分です。 |
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いきなりエンジン搭載画面ですが、 写真を撮りながらの作業って意外と時間かかるんす。 家内が怒ってるのですばやい作業でエンジン載せちゃいました。 エンジン脱着は次の機会にでも。 今回はシリンダーが手に入るまで時間があるので、 腰下だけ組んで載せましたが、この位のエンジンなら1体にして載せるほうが トータル時間は早いでしょう。 KDXに関してではありませんが、大型のバイクの場合 フレームに傷を付けたくないので、わざと腰下だけで搭載する時もあります。 余談ですが、現行バイクは車体に搭載したままで シリンダーヘッドを降ろせないのが大半です。 昔の話です。笑 シリンダー廻りは次回のページで紹介します。 |